自分の好き嫌いに関わらず「この子がデビューできなきゃ嘘だろう」と思ったのはあとにも先にも松本潤だけで、結構長いことそう思ってはいたけれどじゃぁどういう形でデビューするのか、とか、そういう具体的な形は一切想像することができなかった。お世辞にも普段愛想がいいとは思えなかったし(笑)グループでデビューしてその中にずっといる松本潤、というのがいまいち頭の中でしっくりこなかったのだ。まして。
 まして、スタッフに愛されてる松本潤なんてものは。
 だって、愛想ないし、ぶっきらぼうだし、言うこといちいち可愛くないし。
 いい奴であることは間違いないんだけど。なんか、そのへん伝わりにくいところがあるじゃないですか。あのヒトは。
 だから、デビューしたその後のカタチが「想像できない」と思っていました。ずっと。

 2002年夏のコンサート、8月30日にいちばん近いのは28日の名古屋でした。大阪でもう「いちばん近いの名古屋だっけ?」という話がMCで出ていて、そんな話をしてしまった誕生日仕切り大王二宮様が何もしないわけはないのです(笑)
 2部、客席からするするおこるハッピーバースデーコール、正面ビジョンには満面笑顔の松本さん、しかもビジョンの映像はタンバリンの画像でかこまれていてなんだかプリクラみたいなのだ(笑)。センターステージに押し出されて挨拶しろと言われて、そうしてるうちにさっと二宮がステージ脇から引っ込む、その瞬間がどれだけシアワセか。
 二宮が出てきた時に手にしていたのは丸いバースデーケーキ、ろうそくが1本だけ立っているかわいいケーキ。会場にオルゴールみたいなハッピーバースデーの曲が流れて、当人がろうそくを吹き消すと、会場の後方、天井近くの壁にレーザーで「おめでとう」の文字が浮かんでくる。これ、客席からは見えるんだけど、ライトの中にいる5人には見えなくて「なに、なに」って取り残されちゃってて(笑)、アリーナにいた人達みんなが「うしろうしろ!」って指差すとライトが弱くなって、ようやく当人達にも「おめでとう」の文字が見えるの。どうもこれは本人達は知らなかったようで、スタッフさんが独自にやってくれたことらしいんだよな…。
 すげぇすげぇ、おめでとうなんてこんなの正月しか見たことねーよ(笑)と騒ぎつつ、メインステージを振り返るとそこには福田悠太くんと巨大なケーキが!二宮談「福田悠太くんもつけちゃいます!」(爆笑)

 挨拶しろよとせっつかれて、松潤は「まず今日来てくれたファンの皆さんに」お礼を言い、そのあと「メンバーは照れくさいからいいとして」って言った。そしたら花道上にいた4人が泣き真似をしたのがビジョンに大映しになって(笑)
 そんでスタッフさんに「映像とかレーザーとか、あと音もありがとうございます」って。「あと、音も」っていうのがなんつーか、仕事人松本の真骨頂というか(笑)スタッフさんとは冬から色々話し合いながらできるようになってそれがすごくよかったと思ってて、これからもずっと同じスタッフで一緒にやっていきたい、と。
 で、泣き真似されたので言わざるを得なくなったメンバーへのお言葉。「えーっ」って本人とってもイヤそう(笑)『照れんじゃねーかよ』的に少々逆ギレ気味なのが愛しい(笑)
 花道上、他の4名はぴたっとくっついて正座。センターステージの松本さんも思わず正座して、4対1で向かい合う。
 「いちばん迷惑かけてるのは俺だとおもいます」
 「そのとーり!」by桜井翔(爆笑)
 でもね。
 この先「5年10年20年」一緒にやっていきましょう、って。そう、松本潤が言いましたです。
 挨拶の最初の方で「自分は事務所入ってずっとやってきて、今、よかったなぁって思ってる」みたいなことも。

 私がどうしても想像できなかった「デビューしたあとのカタチ」が。
 「5年10年20年」そんなことを口にできるような現実が。
 愛想ないし、言うこといちいち可愛くない松本潤が、でもいい奴であることをこんなにわかってもらえているというのは。
 実際すげぇ話だって、それはほんとにそう思うんだ。
 だってね、松本潤はケーキを見てこう言うんですよ。
 「俺、相葉ちゃんみたいに泣かないからね」
 なんてかわいくない!(爆)そしてそれゆえに、なんて、かわいい(笑)

 松潤が挨拶している途中、暗がりの花道上に4人は座っていたんだけど、仕切り大王二宮様がね。花道下のスタッフさんに、何事かゆってたんですよ。スタッフさんそれ聞いてすっごい笑顔でね、手でOKの形をつくって走ってって。なんだろう?って思ったんですが。これが。
 松本挨拶が終わった後、二宮様は「最後松本さんに猪木のテーマでシメてもらおうと思って」って言い出しましたですよ(笑)ねぇ、アナタもしかしてさっきの猪木のテーマいくよっていう合図?ねぇ、スタッフさんの笑顔とOKのサインは猪木のテーマオッケーっていう、そういうこと?(爆)
 松潤は「はぁ!?」って叫びながらも(本当に「はぁ!?」って顔だった(笑))、「いーち、にー、さーん、だーっ!」までちゃんと持っていき、そのままみんなでメインステージに戻り、戻ったら何故か智さんが猪木真似してて「イノキ!イノキ!」って智さん中心に盛りあがってて、でもその物真似は微妙に中途半端に終了し、それに対して松本さんは「中途半端に終わんならやんなよ!」とケリをかまされておいででした(笑)

 で、メインステージに落ちついて、そこに鎮座している大きいケーキをせっかくだから食べようという話になって、松潤は裏に「すいませんフォークとかないですか」と声をかけに行きました。そして戻ってきて、どっか申し訳なさそうに苦笑しながら
「今、フォークとかないですかって言ったらスタッフの人5人くらいぶぉーーっって走って行っちゃった・・・」
って言うのです。
 走っていくスタッフさんは確かにそれが仕事かもしれないけど、でもそれだけじゃ走れない。仕事で走ろうと思えるのは、少なくともそこに介在する人に対して多少なりともの好意があるからに違いなく、それはレーザーの「おめでとう」もそうなんだけど。
 ここにきてそういうスタッフに出会えていること、福ちゃんがお皿とフォークとナイフまで持って出てきてくれて、みんなが変わりばんこに(何故か(笑))ケーキを切ってくれて、お皿にのせようとした二宮がケーキの下のナイフがぬけなくて「たすけて!たすけてー!」と小声で叫んでいたこと(笑)、それを松潤がフォークで押さえてあげて、でも「(ケーキを)倒すなよ」とか言っていたこと(爆)、お皿とフォークを持ってそーすっとマイクが持てないからそのまま生声で「いただきます!」と叫んでがーっと食って(まさに「食って」)いたこと。
 そのあとのMCで、名古屋で誕生日やるってニノが言ってたから1部と2部の間に打ち合わせとかすんのかなと思って「俺寝たふりしてた」んだと白状したこと、「あ〜、そーいえば10分寝るっつってた、あれか!」とみんなに笑われたこと、でもその時打ち合わせとかしてなかったから「いつ打ち合わせしたの?」と不思議そうだったこと、そうしたら「嵐甘く見ちゃいけないよ!」って笑いながら言われたこと。

 全部全部、なにもかも想像できなかったカタチ。
 なにもかも、想像するより圧倒的にスバラシイ未来。
 「5年10年20年」現実的に夢がみられる、未来。




 松本潤のお誕生日で、何を書きたいかなぁと考えていて。そういえばあたしひとつ、松潤に感謝してることがあったことを思い出しました。感謝というか、なんつーの、おしえてもらったこと、というか。

 はじめて夏のコンサートツアーがあった時、松潤の右足が曲がらなくなったのですね。次の春も、この前の冬も同じことがあった。怪我…といってしまっていいのかどうかわからないけれど、とにかく何かのキッカケで足がそうなってしまうらしい。症状に出るのは「曲がらない」ってただそれだけで、別にフツーに踊れるしフツーに走れる。いたって元気。
 でも、最初の夏の時は足と一緒にメンタル的にもダメージがあったような感じで、なんか見ててこっちの気持ちがどどどーっと流れてっちゃうような。うーん、ほんと流れてっちゃう、という表現が一番ぴったりくるんだけど。

 超個人的な話ですが私はものすごい心配性です。あまりそうは見えませんが、それで騒ぎ立てたりもあまりしませんが、でも、多分とんでもなく心配性です。常になんでも最悪のことから考えて、そうなった時の対処法、自分の気持ちの持っていき方、そのあたりのことまで全部シュミレーションします。そうしておかないとそれこそ「心配」だからです。
 自分が手を出せる最悪のこと、なら、まだいい。まだ、対処の仕様があります。自分が何をしたらいいか、自分にできることは何か、自分が引くことでおさまるならそれでいいし、別に自分が手を出すことで自分が大変になってもいい。自分のことなら自分で対処できるからです。
 逆に言えば、そのくらい心配性なんです。自分のことなら自分でどうにかできるからいいけど、人のことはどうにもできないから。

 それでいくと、松本潤なんか他人すぎます(笑)
 手を出すも出さないも、対処法を考えるもなにも、どうにもできません。曲がらない足を確認したところでどーしよーもない。そりゃ心配だ。心配だよ、そりゃそーだ、迂闊に「しんぱい」って言えないくらい心配だけど、口に出したら心配なまま気持ちが流れてっちゃいそうで、でも「だいじょうぶ?」って聞ける位置にいる人ではないわけで。
 じゃぁどうするのか、って。そんなん。
 そんなん、どうもできん。見てることしか、できない。

 でも、その見てること、で。見てること、が。なにかの力になることってあるのかもしれない。その夏の間の松本潤を見ていて思ったことはそういうことで。
 こっちは手出しできない。どうもできない。なにもできない。
 けど、もしかしたらそこに、そのステージの上に立っているというだけで、そしてそれを見ているというだけで、そこにはなにかの力が出てくるのかもしれない。
 大事なことはきっと、そこ立っているということ。
 だから、流されてちゃだめだ。迂闊に心配ばっかりしてちゃだめだ。
 そこに立っていること、そしてそれを見ていることが、絶対になにかの力になっているはずだから。大事なのはきっとそういうことだから。

 そういうこと、を。ステージの上の松本潤にいっぱいおしえてもらった気がしてます。それは私の中の、大事な大事な財産のひとつです。
 大事なのは、そこに立っているということ。
 そこに立っていてくれるということ。
 そしてそれが、必ず何かの力になっているということ。





 「やっぱりキミがいちばんだ松本潤!!」と突然絶賛したくなる瞬間があります(笑)やっぱりきみがいちばんだ!
 たのしいたのしい19歳(!)(いまさらだが信じられない;)を。
 そして、
 想像もできないくらいのスバラシイ「5年10年20年」先の未来を貴方に。

 おたんじょうび、おめでとう。