そこに宝の地図がある。(と、仮定する)
 しかもその地図はかなり正しい。行けばそこに宝のある確率は高い。(と、仮定する)
 でも、ちょっとだけ行くのは面倒くさいかも。(と、仮定する)

 宝を探しに行くべきか否か。





 8月生まれの少年は、近頃王様になりたいらしい。
 昔から時折「!?」みたいなことを言い出すのが得意で、そしてそれは今もこれからもきっと変わらず、王様になりたいっていうかあんた王様みたいな言動よくするじゃんというツッコミも乗り越えて、やや本気で王様になりたいと言う。もし、宝をみつけたら王様になれる、なんてことになったら、一も二もなく探しに行くに決まってる。
 そういう、8月生まれの少年の最大の幸運は、王様になりたがる彼を許してくれる人が少なくともすぐ近くに4人もいるということだ。そういうひとたちと、一緒に仕事ができているということだ。
 まちがいなく。



 11月生まれの少年は、王様になんかなりたくもなければ宝もほしくないだろう。それが面倒くさい作業となればなおさら。
 おとうさんじゃなくて「おじいちゃん」とかいう呼称が一般に流通するようになるって、それはちょっとろくねんまえには予測できなかった未来。さてじゃぁろくねんまえはこの人どうだったよって、そう思い出そうとしても思い出せない。ただ、たぶんめんどくさい宝探しに行かされそうになったら100%前向きに逃亡してただろうとは思う。
 今も11月生まれの少年が逃亡しない…とは限らない、そのへんのフワフワ感は残ってるのかもしれなくて、しかしミステリアスという言葉は「おじいちゃん」という呼称の頭につけるにはやや躊躇がいるね。




 11月生まれの少年がおじいちゃんなら、1月生まれの少年はおかあさんと呼ばれたりもする。昔、名古屋でスプリンクラーが壊れて天井から水がだーだー降ってきてそこに大量のタオルを敷いて応急処置をしてた時、MCの最後におかあさんは1人その大量のタオルをきちんと後始末していた。
 そんな1月生まれの少年は、じつは昔はやたらとバイオレンスだった(今もたべもののことになるとややバイオレンスになる)
 そして今も、時々、ときどき、その顔を覗かせる。
 ヨソではすごくすごくちゃんとしてて、あらこの方慶応なんですってよまぁそんなこと知っているわおほほ、という中に入ってもソツなくこなせるおかあさんはしかし、たとえば宝探しなんてことになったら突然バイオレンスな人になったりするわけだよ。



 6月生まれの少年は、宝探しなんかやだーやだーやだーと3回はさけぶだろう。
 でも行く。行くとおもう。やだーやだーやだー言いながらちゃんと行く。
 宝の地図とかあっても、結構どうでもいいしべつに探しに行きたくないし、という素振りで、でも実際探しに行くとなれば誰よりも上手に宝をみつけだせる。途中でなにかあっても、あっさり解決策を出してこれる、みたいなね。
 むかしから、そんなイメージなんだけど、でも。
 6月生まれの少年は、さいきん、あきらめることはやめたみたいだ。
 ろくねんまえと今のちがいって、そういうことかなって思ったりする。(それは感覚的な話なので裏づけも根拠もなにもない)




 ところでね。
 実際問題、今嵐ってどうなのかしら。
 売れてんのか売れてないのか、一体この先どうなんだとか。

 話振っといてなんだけどね。
 あのね、そんなもんね、わかるわけないのよね。

 結局すきだからさ。
 だから、6年やってこれてよかったねぇ、って。
 なんかそれだけなわけじゃない?
 毎日幸せでいてくれれば、とりあえず、それだけでも。
 ただ、それだけの願いとか。



 5人でなにかをやった、その跡がちゃんとあるのはうれしいの。
 映画とかね、振り返ってみると。

 仲良しこよしじゃだめだって言うじゃない。
 仲良しこよしじゃ、そこにドラマは生まれないしね。
 確かにね、そりゃそうかもしんないけどさ。
 だからでっかくなれないんだって言われたら、そりゃすみませんねぇってとりあえず言っとくしかないけど。
 でもさでもさ。

 土曜の昼の番組とかさ、関東ローカルだけどさ。
 もう、いつ終わってもおかしくないと思うわけ。
 真夜中の嵐もさ、終わるチャンスっていっぱいあったと思うわけ。
 だって視聴率とかお世辞にも取れてるわけじゃないんだもの。

 でも、終わらないんだよな、なぜか。
 そりゃあの事務所のネームバリューって言われりゃそれまでで、何かを始めるより終わらせる方が難しいんだよってだけの話なのかもしれないんだけど。
 でもねでもね。

 そういうの、人徳って言うんじゃないかと思ってるの。
 人徳で仕事つないでちゃダメかもしんないけどさ。

 このひとたちは、周囲にいるありとあらゆるスタッフのひとたちに、ものすごく好意を抱かせるような何かを持っているんだと思うのよ。

 だって、番組続いてるのが不思議なんだもん。
 理由を考えたら、もう人徳くらいしか思い浮かばないのよ。

 いいじゃん、売りが仲良しこよしだって。
 それでここまでやってきた。

 それとね、それだけじゃないことも、ちゃんとわかってる(つもり)よ?





 12月生まれの少年は、「そこに宝の地図がある」なんてことになってしまったら、率先して飛び出してゆくにちがいない。
 そのとき、実は熱があっても、実は行きたくなかったりしても、それでも率先して飛び出してゆくにちがいない。
 そこに宝の地図がある。これがだまっていられるか。
 むりやりにでもハッピーになって、まわりをハッピーにしてくれて、まわりがハッピーになると、そうすると12月生まれの少年はさらにハッピーになる。
 ハッピーはハッピーを呼ぶね。
 サンタさんの1人や2人、幸せ持って来てくれるはず。




 そこに宝の地図がある。

 きっと宝はここにある。


 あのとき、Jr.って100人よりもっといた。
 売り出し中の勢いと波と追い風と、30分で振付8曲分おぼえるような、めちゃめちゃでわけわかんないスケジュール。決して大事にはされてなかったような気がするけど、それでも勢いと波と追い風を受けて高く高く。


 そんななかから嵐はうまれた。100人を超す思いを受けて。そう。

 嵐は5人であって5人ではない。

 だから、5人で手をつなぐのだ。しっかりと。


 まだまだ勝負はこれからだ。
 大丈夫。信じてる。いつか絶対。

 絶対、トップになろうぜ。


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