起承転結 〜順序、について思うこと



 衝撃のハワイデビュー発表のその時、嵐の5人は驚くほど行儀よく並んでいた。
 こちらの混乱ぶりなどどこ吹く風で、まさに「整列」というノリで5人きちっと横並びになった映像を何度となく見た。何度も見たけれど、何度見ても並ぶ順序はおんなじで、おんなじ質問に、おんなじ答えを返していた。
 曰く、並ぶ順序は自己紹介順で桜井→二宮→相葉→松本→大野であり、まず聞かれる質問とは「嵐というグループ名の由来は?」であった。自己紹介は必ず翔くんの「嵐の桜井翔です」から始まり、グループ名の由来の質問に対しては必ず相葉が「嵐のあは・・・」と判で押されたように答えていた。
 私はこの並び順・しゃべり順に対して「翔くんが特攻隊長=1番最初」であることに「ほほぅ!」と思っていた。なんとなく最初は二宮あたりでくるかなーと思っていたので。翔くんを持ってきたか、と感心していた。で、真ん中にいる相葉が決死で「由来」を答えているのを見て「・・・これはキャラが違うような気がする・・・」と半ば真剣に心配していた。あまりにも必死で、覚えたことをその通りに口にする相葉を見て、おまけに周りも必死すぎてそれになにも突っ込めない状況を見て、「あーもーどーしようどーしよう、1番普通にしゃべれてるのが松本潤なこの事実をどうしたらヨイのだろう!だからって奴にリーダーはできんぞ絶対に!!」などと1人激しく動揺していた。オモテむきリーダーは相葉でもいいけれど、だからってしゃべりまでやらせるのはカワイソウってもんじゃなかろうか、本人顔が必死すぎて泣きそうじゃないか!あぁぁだからって他に誰がやったらヨイのだろうか!?・・・などと、動揺は止まらなかった。
 ・・・が。

 日本に帰ってきて、ぼちぼちワールドカップの声が聞かれるようになった頃、嵐の順序が変化した。変化した、といってもそれは1ヶ所だけの話である。
 並ぶ順序は、自己紹介順で桜井→二宮→松本→相葉→大野、となった。相葉松本の順序が入れ替わっただけである。だけである、のだが。
 同時に、話す順序も変化したのである。
 つまり。1番最初の特攻隊長桜井が「すべてしゃべってしまう」のだ。現在の状況、今どうしていてこれから自分たちがどうするのか、等すべて。「○○はどうでしょう?」と振られた場合も「そうですねぇ・・・」と、説明が必要な項目はとりあえず翔くんがまずはしゃべる。そしてその後で、他の4人が肉付けしていき、その段階で間違いがあればまた翔くんが取りまとめる、という方式である。
 と、こう書くとまるで翔くんが1人でしきっているようだがそうではない。
 この並び方というのは1人1人に役割が振られる按配になっているのである。
 つまり。
 桜井翔の担当は起承転結の「起」である。まず今現在の状況を説明し、それをまわりにわかってもらうという大事な説明的な部分を担当している。彼の強みはボギャブラリーが豊富なことで、説明的なことをしゃべっていても本の通りではない、彼自身の言葉で語ることができるため、味気なくはならないことがすごい。
 次の二宮和也は「承」である。「起」で説明された事柄に関し、それを自分なりに肉付けして、独自の感想を入れつつ、より現在の状況をわかりやすく伝えるのが彼の仕事である。翔くんがより一般的な説明を担当するとすれば、二宮はある程度自分に正直にしゃべることを許されたポジションである、といえようか。
 松本潤は「転」である。もう特に説明する事柄はなくなっているので、彼がやることはただ自分独自のことをしゃべればいいのである。でもって、松潤はそういうのは得意なのである。時々話を聞いてなかったり、とっちらかったりするのもご愛嬌で、それに対し周りが突っ込むのもまた「転」の大事な役割なのである。
 そして「結」は相葉である。相葉というのは周りがどうだろうがなんだろうがどんなに話がわき道にそれていようがとにかく、今この場で話すべきスタンダードな感想、を述べさせたら日本一である。ウラを返せば「嵐のあは・・・」と教えられたら、一字一句変えずにしゃべってしまう、ということであり、独自性には多少欠けるかもしれない。だが「結」として求められているのは独自性ではなく、あくまでもスタンダードな、そのまま雑誌の活字になっても大丈夫なような普遍的な内容のしゃべりなのである。そして、その普遍的な内容を口にしても、照れも嫌味もないのが相葉の持ち味であり、そういう意味でアイドルとして欠かせない部分を担当する人である。
 ・・・さて。「起承転結」はこれで終わりである。
 大野智は何を担当するか。もうお分かりであろうが、それは「オチ」である。
 通常「起承転結」の「結」がオチではあるが、この場合は違う。「結」の後で「オチ」がくるのである。落とし方のパターンは色々で、最初から狙ってやる時もあれば、大野的には普通に言っていることがツボに入ることもある。この時は他の4人がしゃべり終えており、4人で思いっきり大野一人に突っ込むことができるため、オチがどうきても臨機応変に対応できるのが強みである。
 難点は、オチに対応するどころか、4人が真剣にウケてしまい、大野のボケを拾っているヒマがないところであろうか。

 以上、何の役にもたたない「並ぶ順序に関して思うこと」をつらつら書いてみた。この並び順が今度変わる時、それが一体どうなるか、非常に興味深いところである。個人的には、二宮にトップバッターをやらせてみたい。二宮→桜井→松本、ときた場合、翔くんの口数が増えるのか減るのか、より説明的になるのか、それともより独自性を強めるのか、ちょっと予想がつきにくいところがおもしろいのである。


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